KawAZ オフセット角の設定方法 ここではKawAZで使う、Offsetの設定について説明します。 オフセット角を設定する例 Offset角度はどのように使うのか簡単な例をあげてみました。 例1 | うちのアンテナはローテーターの表示で真北を向けても、10度ほど東の方にずれているようだ。 | 例2 | 我が家のアンテナでビーコンの最大ピークを捕まえると、ビーコン方位の真南に向いているはずなのに、ローテーターの針は、5度ほど東に行ったところにビーコンレベルのピークがある。 アンテナの取り付け方角が、ずれているのかも知れないが、アンテナ自体の特性なのかもしれない。 | 例3 | タワーの上に2種類のHFのアンテナを上げているがそれぞれの干渉を避けるために、90度ビームの方角をずらして上げている。 ローテーターで方角を合わせる時には、針の位置から90度、時計回りに回った方角が、そのアンテナのビーム方向だ。例えば真北に向けたい時は、西にローテーターの指針を合わせている。 |
こんな場合に、KawAZのOffsetの機能を使うと効果的です。 少々ややこしいかもしれませんが一度、設定してしまえば、ビームをあわせる度に方角を換算したりする必要がありませんので使ってみてください。
さて、Offsetの設定の前に、KawAZの基本的な使い方をもう一度、書いておきます。
「KawAZは自分の居る場所から目的とする地点までの方位角を、一目でわかるようにコンパスの形(ローテーターの針のイメージ)であらわす」というものです。 言い換えると、方位を数字ではなくアナログ的に図形表示し、KawAZのコンパスとローテーターの指針を同じ形(傾き)にすることでアンテナの方角を合わせようというものです。
このため、もしアンテナの実際のビーム方向とローテーターの表示の間に誤差があると、同じ形にローテーターの指針を合わせても、実際には目的方向を向いていませんので、その誤差分は自分でローテーターの指針をずらすことによって合わせることになります。
これは誤差だけではなく、例3のような、わざと与えている角度差の場合でも同様であり、その分の修正を自分で行うことになります。
せっかくKawAZでアナログ的に出てきた、体感的な形をそのままローテーターの指針に合わせることができませんし、自分で調整する時の誤差や思わぬ勘違いなどの原因にもなるかも知れません。 このために見た目のKawAZのコンパスの形をそのままローテーターの指針の形に置き換えることができるように持たせた機能がOffset機能です。
KawAZのオフセット機能
KawAZのOffset機能には2つのOffset設定項目があり、それぞれ単独でOffsetを与えたり、また両方いっしょにOffsetを与えることも可能です。
KawAZにある2つのOffsetの設定は、
1. コンパスと表示目盛りの両方に同じOffsetを与える設定。 (コンパスの指針を目盛りごと回転させることです) 2. 目盛りの表示はそのまま(上が北方向)とし、コンパス指針だけにOffsetを与える設定。
また、上記の通り1と2の両方同時に設定することもできます。
それでは、これらの機能をどのように使い分けるのか説明していきます。 例1のケース 例1にあるケースは、自分は真北をローテーターの表示で合わせたにもかかわらず、実際のアンテナのビームの角度が、マストへの取り付け誤差、またアンテナ特性から、時計回りに10度ずれてしまっている場合です。
このような場合の対策としては、KawAZで計算させた真の方位角に対して、一定の角度をずらしてコンパスの指針を表示させれば、KawAZのコンパスの形をそのままローテーターの形に与えることができます。 しかし、この場合は、おそらく、ローテーターの角度の目盛りまでいっしょにずらせて表示させた場合は、設定し難くなってしまいます。 なぜかというと、方角を合わせるためのローテーターの目盛りは北を上にしたもので固定しているからです。 だからKawAZに表示される目盛りまでいっしょにずらした場合、角度をあわせる目盛り(目印)が使うことができず、逆に設定し難くなってしまいます。
このような場合の設定方法としては、
Grid Offset : 0 degree Compass Offset : +10 degrees のようにコンパスの指針だけにOffsetを与える設定が良いと思われます。 (ただしこの場合目盛り上の指針の角度はOffset分だけずれてしまうため、指針の方向は正しくはありません) 設定する数値は10進法の度数であり+と−が設定できます。 +のOffsetを与えると、コンパスの表示が実際の方位角度よりも反時計回りにずれた角度で表示されます。
これについては次のように考えてください。
自分のアンテナのローテーターの表示を真北に向けた場合(アンテナ自体を北に向けたこととは違います)例1のように東に10度アンテナのビームがずれているということは、ローテーターの表示に対して、アンテナが+方向(時計回り方向)に、10度オフセットがかかっているということです。この角度(+10)をここに入れます。 アンテナのローテーターの表示に対して、実際のアンテナの方位が反時計方向にずれている場合は−の数字になります。 (プラスの場合"+10"と入れても単に"10"と入れてもかまいません。 また-350度でも同じ結果になります)
このように設定することで、KawAZで計算した真の方位に対して、表示するコンパスが反時計回りに10度ずれた形で表示されます。 このKawAZに表示された形とローテーターの指針の形を合わせてやれば、アンテナ自体が目的とする方向を向いていることになります。
例2のケース
それでは、例2の場合はどうでしょうか?
この場合は、反時計回りにずれているように聞こえますがよく読んでみると、ずれているのはローテーターの表示が反時計回りにずれていることが判ります。つまりアンテナ自体はローテーターの表示に対して時計回りに5度ずれているのです。この場合も例1と同様に Grid Offset : 0 degree Compass Offset : +5 degrees として与えるとKawAZとローテーターの表示する形を一致させることができます。
このように、与えたOffset角を持つコンパスのイメージは、KawAZの表示上は、目に付きやすいように、塗りつぶされたコンパスで表示され、真方位は同じ色の枠だけで表示されます。 これは、塗りつぶされたコンパスは正しい方角ではなく、ローテーターとの形を合わせる為だけのものだからです。 さらに、正しい方位角も表示しないと、KawAZの作者自身が何となく気持ち悪いからです。
次にもうひとつのOffsetの設定について説明します。 例3のケース 例3では2つのアンテナの干渉を避けるために90度ずらしてアンテナを上げている場合です。 これは上の2つのケースとは違ってずれている角度が90度と大きく、更に目盛りはそのままで方位のNをE、EをSと読み替えるだけになります。
このような場合は目盛りとコンパスの表示が90度回転してくれればそれだけで十分であり、90度、180度、270度のようにOffsetを与える場合は、直交した目盛りでローテーターのコントローラの目盛り上も、そのまま読めるため、目盛り自体にOffsetを与えたことによる設定のしにくさがありません。
この例3の場合の設定は
Grid Offset : +90 degrees Compass Offset : 0 degrees に設定します。 これでKawAZの目盛りが反時計方向に90度回転します。 このため今までKawAZの表示で上側に北があったものが東に置き換わります。
この場合は、Offsetを与えていますが、コンパスと目盛りがいっしょにOffset角分だけ回転しただけで、表示そのものは正しい方位角を示しています。
複合するケース
最後に両方をいっしょに与える場合について考えます。
これは例3のようにわざと干渉を避ける目的でOffsetを与えているアンテナが、そのずらした角度(例えば90度)から、更に少しだけずれているような場合に設定します。
例えばGrid Offsetに+90度を与え、Compass Offsetに−5度を与えるような場合です。
この場合の設定は Grid Offset : +90 degrees Compass Offset : -5 degrees となります。
注意していただきたいのは、GridのOffsetは、既に目盛りとコンパスの指針両方にOffsetを与えていますので、この場合Grid Offsetに90度、コンパスに85度(= 90-5)などというOffsetの与え方では無いことに注意してください。 このようなOffsetの設定をすると、表示角度はGrid Offsetで、目盛りといっしょに、90度ずれて表示されたコンパス指針に対して、更に85度のOffsetがかかってしまうことになります。
このようにKawAZの表示にOffset角をあらかじめ与えることで、たとえOffsetのあるアンテナを使う場合でも、「ローテーターのコントローラーの指針のイメージをKawAZに表示された方位のイメージに合わせる」だけで実際にアンテナが目的とする方位を向いていることになります。
尚、上の説明ではGrid Offsetは90度、180度、270度などの直交するような例をあげましたが、Grid OffsetもCompass Offsetも1度単位で設定できますので、45度などの対干渉対策オフセットなどにも対応します。
また設定したOffset角は、KawAZの中で(ini fileとして)保存されますので、再度KawAZを起動した時でもOffset値そのものや、選択していたOffset設定を再現した形で起動します。 Offsetは最大5つの組み合わせがボタンひとつで選択できます。
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