National Trust

&

English Heritage

National Trust English Heritage は、イギリスの名所旧跡を訪れると必ずお世話になるものです。

どちらも過去の歴史を未来にそのままの形で残そうという目的で設立されたもので、それぞれが管理している歴史的遺産、景勝地は相当なものになります。

National Trust (2000年1月現在)

National Trust 2000年版ハンドブックにある定義では

National Trust とは、

· 登録済みのチャリティー基金である。

· 政府から独立した組織である。

· 1895年に、歴史的に意味のある場所や、自然の美しさを未来永劫保存し、国民のために設立された。

· 寛大なサポーターの方々にメンバーシップの会費、ギフト、伝統、寄付を通じ、さらに何千人ものボランティアの方々によって成り立っている。

· 現在、200以上の歴史的建造物や庭園、そして49ヶ所に及ぶ工場や風車、水車小屋などが保存され、一般に公開されている。

· 248,000ヘクタールに渡る美しい景勝地、600マイルに渡るすばらしい海岸を人々のために所有する。

· 森、林、垣根、農園、湿地、荒野、島嶼、遺跡、未開拓地、村落を永遠に、すべての人々のために管理する。

· 資産の不譲渡に関しては、特別の法的権力を有している、たとえば、それら資産が、ナショナルトラストの意思に反して、売却されたり、抵当に入れられたり、差し押さえられたりすることは、特別の議事決定手順を踏まない限り、不可能である。 つまりこの法的権力により、資産の保存が永遠に行われるということを意味する。

· 収入のすべてを、その管理下にある土地、建造物のケアとメンテナンスに投資しているが、すべてを賄うことはできていない、80%の歴史的な家が、摩耗損傷してきている、財政的なサポートが常時必要としている状態である。

となっています。

English Heritage (2000年1月現在)

English Heritageの目的は

· イギリス史上大切な場所、記念碑、建造物、そして地域の保存を確保していくこと

· この共有の継承されてきた資産を、人々の喜びのためにわかちあうこと

· 継承される資産の理解と認識を深め、保存に対する責任を自覚していくこと

の3点です。

また、English Heritageは

· 1984年に議会により設立された国民的組織であり、英国議会をオフィシャルアドバイザーとしています。

· 国内に400以上の歴史的遺産を持ち、15,400点の歴史的記念碑、450,000点の登録建造物、そして9,000点以上の保護区を管理している

ということが記されています。

National Trust と English Heritageの違い

両方とも主旨が非常に似かよっており、わざわざどこが似ているとか、どこが違うなどと考える必要も見つける必要も無いのですが、なんとなくやっぱり気になります。そう思って考えてみると

第一に政府が関与しているかいないかの差があるようです。 English Heritageには、政府がバックに付いていますが、National Trustは独立の組織であることがわかります。

次に設立された年があまりにも異なっていることも目に付きます。 English Heritageは設立後15年も経っておりませんが、National Trustは100年以上の歴史があります。

いずれにせよ「過去の遺産を未来につなごう」という組織であることに変わりはありません。 そしてメンバーになると、これらの組織が管理している歴史的遺産に何度でも無料で見学させてもらえる所であり、とても感謝すべき組織団体です。

以下は、私の勝手な考えですが、御参考まで

目に見える違いはほとんどありませんが、私は次のような流れが感じられます。

National Trustは、比較的、近代の資産や現存する風景、建造物を未来に、そのままの形で残そう、という主旨が少しだけ強いように思います。 現状ある歴史的建造物の中に入って、家具や建具、絵画、書籍、美術品を実際に見て、建物の外では立派な庭園を見学するケースが多いような気がします。

これに対して、English Heritageは、古代からの遺産がどのような道をたどってきたのか、これらの遺産に関する歴史的解説を深く行い、これらの遺産をどうやって保存するか、復元するかという主旨が強いような気がします。 このため遺跡、城跡が多いように思います。

一言でいって、

「今を未来に伝える National Trust、過去を現在に導く English Heritage」

という所でしょうか?

もちろんその逆のケースもありますし、これは私の勝手な意見ですので、別の見方もあるでしょう。 いずれにせよ、時空を超える伝道師であることに間違いありません。

 

 

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